家庭の「人手」不足
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高橋秀典です。
昨日は大きなイベント(全国学童保育指導員学校(南関東会場))に行って、小児科の臨床心理士(田中真樹子先生)の話を聞きました。その先生の話で、私が日頃思っていることについて、あ!これだ!と思ったことがありましたので、そのことを書いてみたいと思います。
私は結婚後、幸運にも一人の子供を授かりいま中学2年生になりました。私はサラリーマンではなく自営業ですので、自宅や近くに事務所を借りるなどして仕事をしてきています。時々パート等もしてきました。妻は私の仕事を手伝ったり外にパートに行ったりして、夫婦のスケジュールを常に調整して、どちらかが基本的には子供の面倒を見られる状況にしてきました。親の同居・近居はなくずっと夫婦と子供1人の3人世帯です。家にいれば家事というものは必ずあるもので、夫婦どちらともなく出来るときに出来る方がやっています。
昨日の先生の話の中で、発達障害の子どもやグレーゾーンの子どもへの対応の話がありました。先生がおっしゃるにはその対応として「母親を支援する」ということでした。家事のヘルパー派遣だったり、場合によっては経済支援だったり。そうして、母親に少しの余裕ができると子供のことも含めていろんなことが好転してくる。その話の中で「人手不足」という言葉が出てきました。
人手不足というと、最近では経済用語のように思いますが、私はまさに、これだ!と思いました。
いまでも地方に行けば、3世帯同居や子どもがたくさんという世帯も多いと思いますが、都市部ではほとんどが我が家のように子どもが少ない核家族です。大抵の場合、父親は一日中働いていて家にほとんどおらず、母親も父親と同じように働いているかまたは、パートで働き、ようやく空いた隙間の時間に、子どもとの時間を過ごしたり家事を行うという、まったく時間的に余裕のない毎日を過ごしています。経済状況も良いわけではないので、経済的な余裕もないことが多いです。また、子どもも小学高学年にでもなれば、家事の一部でもしてくれそうなものですが、部活・習い事・宿題などで子ども自身も余裕がありません。
こうした状況は言い換えれば、家庭内の「人手不足」ということができると思います。家庭内の人数が少ないので、一人ひとりに仕事が集中します。逆に人数が多(=人手が多い)ければ、色々なことを分担できます。家事はひとつひとつは簡単な仕事が多いので、ひとりの少しの時間をそれに充て、大人数でこなせば、大方のことは片付きます。
私は以前からこうしたことは感じており、3世帯同居や近居もいいなーとも思いますが、今の時代、なかなか私達の親世代とスムーズに協力関係ができないことも多いです。実際、近くに住んでいる親に子どもを見てもらうのにその都度お金を渡しているという家庭もありますが、大変そうです。
シェアハウスにもかなり前から関心があり、大人数で暮らすことのメリットも多いのではないかと思います。実際以前私が暮らしていた団地では、(どういう理由かは分かりませんが)2つの同世代の世帯が一緒に暮らしている家庭もありました。そして、シェアハウスはまだ独身者向けのものがほとんどではないかと思います。いくつかの世帯が同居するシェアハウスの課題は、その家庭ごとのルールや文化、プライバシーがどのように守れるかという点です。
家庭の人手不足を解消する他の方法としては、公的支援を利用することです。地域包括支援センター等でヘルパー派遣等のサービスを受けられたりします。ボランティア団体やNPO等の様々なサービスもある時代です。ただ、私の実体験としては、公的支援は縛りが多すぎ、使い勝手の良い物はなかなかありません(公的支援を使うなと言いたい訳ではありません)。
今回のこのテーマは、私なりの結論があるわけではないので、最後に2つ関連した別の話をして終わりにしたいと思います。
1つは、保育園や学童保育等の不足問題。これは動画で以前話したこともありますが、政府や地方自治体は不足を解消するために施設や保育士を増やす方向で様々な対策に取り組んでいるようですが、私はこのことはまったく馬鹿げた方向だと思います。根本問題は、沢山の世帯が、両親とも子どもを見られないくらい働かなくてはいけない状況になってしまっていることで、そこにこそ対策をとるべきです。
もちろん、働くことそのものに人生の意義や社会的意義を感じて働いている人はいると思いますが、お金のために仕方なく働いている人がどれだけ多いことかと思います。かと言って、専業主婦・主夫になる必要もないと思います。子どもが学校に行っている時間の短い時間だけ働いて、子どもが帰ってくる時間には親が家に居られる、そうした短い労働でも家計がやっていける賃金なりを払える状況が必要です。
我が家のように自宅での仕事で家計がやっていける収入が得られる状況にするということでもOK(我が家は家で子どもをみているんだから、その分のお金を支給して欲しいと思ったことは数知れず。だって、外に働きに行っている家庭にはその子の保育のために多額の税金が使われているんです。それって平等じゃないですよね?(ちょっと感情的になって脱線しました))。
保育園は、何も朝早くから夜までずっと預けるのでなく、例えば、朝7時から午後2時まで預ける、または、午後2時から夜9時まで預けるといった、2交代制にすれば、いまある施設で単純計算で2倍の収容人数が得られます(実際、子どもの人口が多く財政が貧しいフィリピンでは学校がそのようになっています)。何も2倍の数の子どもを受け入れるのに、2倍の施設が必要なわけではないです。
2つめは、今後、働く=所得=貨幣 とはならない時代になると思います。働くことで所得を得るのではなく、働くことでポイントをもらう。そのポイントでモノやサービスを交換する。ITが普及した時代になればなるほど、貨幣(そもそもこれもバーチャル)だけでの交換経済は少なくなってくるでしょう。例えば、近所の足の悪いおばあさんのために、少し空いた時間で買い物をしてきてあげる=◯◯ポイントもらう。そのポイントで、他のご家庭に1時間だけ子どもを預かってもらう。そんな社会になると思います。何もポイントでなくても、高齢者が自宅の空いている部屋に、学生さんを無料で住まわす。その代わりに、その高齢者に何かあった時にはその学生さんが手助けする(電球の交換1つでもいいわけです)。こういう形でもいいわけですが、すでにこうした動きは報道で見たことはあります。(まあ、もしこういうことが進めば、財務省が黙っていないでしょうが、そもそも従来の国の制度が時代にあってないってことですね。)
家庭の人手不足問題の解決の糸口は、この辺にもあると感じています。
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